施工管理

【早見表付き】土木の勾配計算は簡単!計算方法や計算式をわかりやすく解説!

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<この記事はこんな方へオススメ>

・勾配とは何か知りたい方
・法長の計算方法を知りたい方
・法勾配を確認する道具を知りたい方
・勾配表をまとめて確認したい方

勾配早見表をすぐに確認したい方は、下記のボタンで記事下に移動してください。

建設業に携わっているあなた

  • 法面勾配の計算方法が分からない
  • 計算式や勾配表をまとめて確認したい

と悩んでいませんか。

作業現場では、盛土やブロック積の施工時や丁張り作成時など、勾配を確認したり、法長の計算したりする場面がいくつもあります。

今回の記事は、そんな『勾配』について解説していきます。

現場監督

明日、法面の丁張りをかけるから
勾配の計算できるようにね!

どぼくじら

分かりました!
勾配について勉強しておきます!

結論:勾配の計算式とポイント

初めに結論から紹介します。

勾配に関するポイントは、以下の通りです。

勾配のポイントまとめ
  • 勾配とは、傾きや傾斜のこと
  • 法面勾配は、法面の勾配のこと
  • 法面勾配は、「1:1.5」「1割5分」のように表記
  • 法長は「三平方の定理」で求めることができる

法長(斜辺の長さ)は、「三平方の定理」を用いて求めることができます。

$$法長 = ( \sqrt {W^2+H^2} )$$
例えば、1割5分勾配の法長を計算する場合、(W=1.5、H=1)となります。

つまり、この三角形の法長は、

$$\sqrt {1.5^2+1^2} ≒ 1.803$$

というように求めることができます。

それでは、次章から『勾配の計算』について詳しく解説していきます。

勾配とは

勾配とは、ずばり『傾き』のことです。

現場では、地面や道路、護岸や堤防、法面の傾きや傾斜の事を指します。

勾配は、法長を求める以外にも「法面丁張」をかける際に必要な情報となります。

どぼくじら

『勾配』って傾きの事なんだね!
でも勾配の表記の仕方や読み方ってどうやるんだろう…

勾配の表記方法

土木工事における盛土・切土等の法面の勾配を表現する場合は、比、百分率、角度で表すことが出来ます。

比での表記

高さを1としたときの水平長さとの比で勾配を表記する方法です。

比による法面勾配の表記は、切盛土の法面勾配などに用いられます。

比による表記方法が、一番よく使われている勾配の表記方法です。

比による勾配計算

百分率での表記

水平長さ100に対する高さの百分率で勾配で表記する方法です。

百分率による法面勾配の表記は、道路勾配などに用いられます。

角度での表記

底辺と斜辺との挟角を「°」で勾配で表記する方法です。

角度による法面勾配の表記は、階段勾配などに用いられる。

どぼくじら

勾配って色んな表記の方法があるんだ!
監督が「5分の勾配で…」っていってたけど、どういうことだろう…

比による勾配について

勾配を比で表現する際に、「2割勾配」「5分勾配」と特殊な表現のしかたをします。

法勾配では、水平長さを1とするのではなく、逆に鉛直高さを1とします

高さを基準にするのは、慣れるまでは違和感があるかもしれませんね。

例えば、下記の図のように「高さを1、水平長さを0.5」とする場合、「1:0.5」のように表現し、「5分勾配」と呼びます。

この呼び方は、「分」が分数を表す単位だからだと言われています。

5分勾配とは

5分勾配とは、下記の図のような勾配のことを言います。

5分勾配
5分勾配
どぼくじら

監督が言ってた「5分勾配」は、こういう角度の事だったのか!

ちなみに、下記の三角形は1割5分勾配の三角形です。

5割勾配の三角形よりも緩やかだということが分かりますね。

1割5分勾配

この勾配で比率を実際の距離に当てはめた場合…

  • 5m(1)の高さを確保するために
  • 7.5m(1.5)の水平長さが必要

だということも分かります。

法長の計算方法

勾配を表現する方法を理解したら、法長(斜面の長さ)の計算方法も併せて押さえておきましょう。

どぼくじら

確か直角三角形で長さを計算する方法あったな…

ピタゴラス

わしじゃよ…

どぼくじら

ピタゴラスさん!なるほど、三平方の定理か!

ずばり、求めるための公式は『三平方の定理(ピタゴラスの定理)』です。

法長(斜辺の長さ)は三平方の定理を用いて求めることができます。

$$法長 = \sqrt {W^2+H^2} $$
例えば、1割5分勾配の法長を計算する場合、それぞれ(W=1.5、H=1)となります。
つまり、この三角形の法長は、$$ \sqrt {1.5^2+1^2} ≒ 1.803 $$というように求めることができます。

ただ、毎回計算するのは面倒なので、よく使う勾配の法長係数は覚えておきましょう

また、勾配の法長係数を一覧にまとめておくと、すぐに法長を求めることが出来ます。

本記事の最後に勾配早見表を公開しておりますのでご確認ください。

勾配を確認する道具

どぼくじら

どうやって実際の現場で勾配を調べるんだろう…

勾配を調べる道具に『スラント』という物があります。

スラントを傾斜面に当てることで、傾斜面の傾きの角度を測定することができます。

使い方
  1. 測定物に勾配計(スラント)の測定面をあてます。
  2. 気泡が気泡管の中心にくるまでダイヤルを回します。
  3. 目盛盤上、指示針の先端を読み取ります。
  4. 読み取った値が勾配です。
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水平器での勾配の確認方法を以下の記事で紹介しています。

スラントが手元に無い場合でも使えるので、一度確認していくようにしましょう。

>>記事を確認する

まとめ

今回は、勾配の計算方法について解説しました。

改めてポイントをまとめて紹介いたします。

勾配のポイントまとめ
  • 勾配とは、傾きや傾斜のこと
  • 法面勾配は、法面の勾配のこと
  • 法面勾配は、「1:1.5」「1割5分」のように表記
  • 法長は、「三平方の定理」で求めることができる
どぼくじら

よし!これで勾配についてばっちりだ!
明日の丁張り頑張るぞー!

最後に本記事の参考資料として、「勾配早見表」と「計算式」のまとめ記載しておきます。

いちいち計算するのは面倒なので、よく使う勾配については控えておきましょう。

参考:勾配早見表

現場でかなりの頻度で使用する表になります。ブックマークをしていつでも開けるようにしておきましょう!

勾配角度法長
垂直1に対し
水平長
垂直1に対し
垂直高
法長1に対し
水平長
法長1に対し
法長
水平1に対し
垂直長
水平1に対し
一分
(1:0.1)
84.289407
84°17′22″
1.0049880.1000000.9950370.09950410.04987610.000000
二分
(1:0.2)
78.690068
78°41′24″
1.0198040.2000000.9805810.1961165.0990205.000000
三分
(1:0.3)
73.300756
73°18′03″
1.0440310.3000000.9578260.2873483.4801023.333333
四分
(1:0.4)
68.198591
68°11′55″
1.0770330.4000000.9284770.3713912.6925822.500000
五部
(1:0.5)
63.434949
63°26′06″
1.1180340.5000000.8944270.4472142.2360682.000000
六部
(1:0.6)
59.036243
59°02′10″
1.1661900.6000000.8574930.5144961.9436511.666667
七部
(1:0.7)
55.007980
55°00′29″
1.2206560.7000000.8192320.5734621.7437941.428571
八部
(1:0.8)
51.340192
51°20′25″
1.2806250.8000000.7808690.6246951.6007811.250000
九分
(1:0.9)
48.012788
48°00′46″
1.3453620.9000000.7432940.6689651.4948471.111111
一割
(1:1.0)
45.000000
45°00′00″
1.4142141.0000000.7071070.7071071.4142141.000000
一割一部
1:1.1
42.273689
42°16′25″
1.4866071.1000000.6726730.7399401.3514610.909091
一割二分
1:1.2
39.805571
39°48′20″
1.5620501.2000000.6401840.7682211.3017080.833333
一割三分
1:1.3
37.568592
37°34′07″
1.6401221.3000000.6097110.7926241.2616320.769231
一割四分
1:1.4
35.537678
35°32′16″
1.7204651.4000000.5812380.8137331.2289040.714286
一割五分
1:1.5
33.690068
33°41′24″
1.8027761.5000000.5547000.8320501.2018500.666667
一割六分
1:1.6
32.005383
32°00′19″
1.8867961.6000000.5299990.8479981.1792480.625000
一割七分
1:1.7
30.465545
30°27′56″
1.9723081.7000000.5070200.8619341.1601810.588235
一割八分
1:1.8
29.054604
29°03′17″
2.0591261.8000000.4856430.8741571.1439590.555556
一割九分
1:1.9
27.758541
27°45′31″
2.1470911.9000000.4657460.8849181.1300480.526316
二割
1:2.0
26.565051
26°33′54″
2.2360682.0000000.4472140.8944271.1180340.500000
二割五分
1:2.5
21.801409
21°48′05″
2.6925822.5000000.3713910.9284771.0770330.400000
三割
1:3.0
18.434949
18°26′06″
3.1622783.0000000.3162280.9486831.0540930.333333
勾配早見表

既知の情報を基に係数を使用することで長さを求められます。

例)二割勾配で垂直高「3」の場合
法長=3(垂直高)×2.236068(係数)=6.71

参考:勾配の計算式まとめ

法面勾配の計算方法

水平長さの計算式

$$W = 勾配比率 × H$$

例)高さ H = 3m、勾配比率 1:1.5の場合
1:1.5 =3:W
W=3 × 1.5 = 4.5m

高さの計算式

$$H = W ÷ 勾配比率$$

例)水平長さ W = 4m、勾配比率 1:0.8の場合
1:0.8 = H:4
H= 4 ÷ 0.8 = 5m

法面長の計算式

$$法長(l) = sqrt {w^2+H^2} $$

例)水平長さ W = 5m、高さ H = 4mの場合

$$法長(l) = \sqrt {5^2+4^2} = \sqrt {41} ≒ 6.403m$$

勾配比率の計算式

$$勾配比率(n) = W ÷ H$$

例)水平長さ W = 4.5m、高さ H = 3m の場合
1:n = 3:4.5
n= 4.5 ÷ 3 = 1.5

勾配比率 = 1 : 1.5

勾配に関する参考記事紹介

土量変化率の計算方法については、ちゃんさとブログさんの記事がおすすめです。

例題を踏まえて丁寧に解説されており、分かりやすい内容となっております。

外部リンク:ちゃんさとブログ
土量変化率の計算方法とは?これだけ覚えれば絶対解ける【例題あり】

丁張のかけ方については、ぜねたさんのブログ『つちとき』の記事がおすすめです。

図解を用いて丁寧に解説されており、未経験者にも分かりやすい内容となっております。

外部リンク:つちとき
土木工事における丁張のかけ方!丁張について元ゼネコンマンが徹底解説【若手技術者向け】

ABOUT ME
どぼくじら
数年前にIT企業から土木作業員に転職。現在は、施工管理技士試験や現場で活かせる情報を発信するブログを運営中。現場仕事と育児をこなしながら、限られた勉強時間で1級、2級土木施工管理技士の試験に1発合格。資格取得のノウハウや勉強法などを中心に発信しています。