【令和5年度前期】2級土木施工管理技士試験第一次検定の過去問解説
No.54~No.61
No.54
公共工事における施工体制台帳及び施工体系図に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、建設業法上、正しいものの数は次のうちどれか。
- 公共工事を受注した建設業者が、下請契約を締結するときは、その金額にかかわらず、施工体制台帳を作成し、その写しを下請負人に提出するものとする。
- 施工体系図は、当該建設工事の目的物の引渡しをした時から20年間は保存しなければならない。
- 作成された施工体系図は、工事関係者及び公衆が見やすい場所に掲げなければならない。
- 下請負人は、請け負った工事を再下請に出すときは、発注者に施工体制台帳に記載する再下請負人の名称等を通知しなければならない。
⑴ 1つ
⑵ 2つ
⑶ 3つ
⑷ 4つ
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:1
①正しいです。
施工体制台帳は、公共工事の場合はその下請金額にかかわらず、発注者から直接工事を請け負った建設業者が作成しなければなりません。
施工体制台帳は2次3次を含む下請負人の名称や請け負わせる工事内容、工期などを記載し、現場ごとに備え置くことが義務付けられています。
②正しくありません。
施工体系図は施工体制台帳を添付書類としたうえで、工事が完了し目的物を引き渡した後は5年間保存が義務付けられています。
その他、主任技術者の氏名及び資格、下請業者の名称及び許可番号、下請工事の内容と工期及び主任技術者の氏名なども添付が必要です。
③正しくありません。
元請けである建設業者は、各下請負人の施工分担の関係を表示した施工体系図を作成し、これを工事関係者全員が確認できるよう当該現場の見やすい箇所に掲げなければいけません。
一般の人への確認は必要ないので公衆へ掲げる必要はありません。
④正しくありません。
下請負人は、自らが他業者から請け負った建設工事を別の建設業者へ請け負わせた場合は、元請建設業者へ再下請負通知を行わなければいけません。
再下請負通知をするときは再下請負通知書を作成し、一次請負以下の下請契約についての契約内容を記載して、元請業者へ報告します。
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No.55
ダンプトラックを用いて土砂(粘性土)を運搬する場合に、時間当たり作業量(地山土量)Q(m3/h)を算出する計算式として下記の( )のイ〜ニに当てはまる数値の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
⑴ イ:24 ロ:1.25 ハ:7 ニ:231.4
⑵ イ:7 ロ:0.8 ハ:24 ニ:12.6
⑶ イ:24 ロ:0.8 ハ:7 ニ:148.1
⑷ イ:7 ロ:1.25 ハ:24 ニ:19.7
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:2
ダンプトラックの時間当たりの作業量は
q(1回当たりの積載量m³)×f(土量換算係数)×E(作業効率)×60
q=7m³
f(土量換算係数)は1÷1.25=0.8
E=0.9
これらを代入して
7×0.8×0.9×60=302.4
302.4÷Cm(サイクルタイム:分)
=302.4÷24
=12.6
となり、この問題の時間当たり作業量Qは
12.6m³/hとなります。
この問題でのポイントは、土量換算係数をしっかり計算することです。
土量の変化率L=1.25という記述に惑わされて、その数値をそのまま使用して計算してしまう事にならないようにしましょう
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No.56
工程管理に用いられる工程表に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、適当なもののみを全てあげている組合せは次のうちどれか。
- 曲線式工程表には、バーチャート、グラフ式工程表、出来高累計曲線とがある。
- バーチャートは、図1のように縦軸に日数をとり、横軸にその工事に必要な距離を棒線で表す。
- グラフ式工程表は、図2のように出来高又は工事作業量比率を縦軸にとり、日数を横軸にとって工種ごとの工程を斜線で表す。
- 出来高累計曲線は、図3のように縦軸に出来高比率をとり横軸に工期をとって、工事全体の出来高比率の累計を曲線で表す。
⑴ ① ②
⑵ ② ③
⑶ ③ ④
⑷ ① ④
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:3
③グラフ式工程表は横軸に各工種の工期を、縦軸に出来高比率をパーセンテージとすることで、それぞれの工種の工程が曲線で表わされます。
この曲線の勾配の緩急により作業進捗能力を知ることができるので、各工事が施工中か完了したかを把握できます。
よってこの設問は適当です。
④出来高累計曲線は横軸には具体的な日数を省略した大まかな工期を取り、縦軸には出来高をパーセンテージで表わし、全体工事に対する月ごとの予定出来高比率を累計したものです。
曲線は起点からは緩い曲線ですが、工期が中盤に差し掛かると急激に出来高が上昇し、完工間近になると再び緩やかなSカーブと呼ばれる曲線となります。
よってこの設問は適当です。
現状として一般的には工期が見やすいバーチャートが多く使用されていると思われます。
しかし出来高累計曲線はSカーブを確認することで予定工程曲線と実施工程曲線を比較し適切な工程管理が可能となるため、この2つを組み合わせて工程表を作成するといった利用法もあります。
それぞれの長所と欠点を補い、その工事に一番適した工程管理ができるようさまざまな組み合わせで利用します。
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No.57
下図のネットワーク式工程表について記載している下記の文章中の( )のイ〜ニに当てはまる語句の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
ただし、図中のイベント間のA〜Gは作業内容、数字は作業日数を表す。
・( イ )及び( ロ )は、クリティカルパス上の作業である。
・作業Fが( ハ )遅延しても、全体の工期に影響はない。
・この工程全体の工期は、( ニ )である。
⑴ イ:作業C ロ:作業D ハ:1日 ニ:23日間
⑵ イ:作業C ロ:作業E ハ:1日 ニ:23日間
⑶ イ:作業B ロ:作業E ハ:2日 ニ:22日間
⑷ イ:作業B ロ:作業D ハ:2日 ニ:22日間
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:2
ネットワーク式工程表はクリティカルパスと呼ばれる矢印と丸で表わしたものを使用します。
クリティカルパスの丸はイベントすなわち工事を表し、数字は工事を進める順番です。
矢印のうち実線はその工事を完了できるまでの所要日数、点線はダミーと呼ばれ、同時進行可能などの理由で分岐が発生しても作業順序を規制するために設けられる所要時間がゼロの擬似作業とされています。
・(イ:作業C)及び(ロ:作業E)は、クリティカルパス上の作業である
この文章は正しいです。
作業Cが終了しないと作業Eに取り掛かれません。
・作業Fが(ハ:1日)遅延しても、全体の工期に影響はない。
この文章は正しいです。
イベント③からは所要日数が8日の作業Eと所要日数7日の作業Fが発生します。作業Fは7日なので1日遅延しても作業Eの完了に間に合うので全体工期に影響はありません。
・この工程全体の工期は(ニ:23日間)である。
この文章は正しいです。
この工事の工期はA:5日+C:6日+E:8日+G:4日=23日となります。
よってこの解答は正しいため、正解となります。
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No.58
型枠支保工に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、適当なものの数は次のうちどれか。
- 型枠支保工を組み立てるときは、組立図を作成し、かつ、この組立図により組み立てなければならない。
- 型枠支保工に使用する材料は、著しい損傷、変形又は腐食があるものは、補修して使用しなければならない。
- 型枠支保工は、型枠の形状、コンクリートの打設の方法等に応じた堅固な構造のものでなければならない。
- 型枠支保工作業は、型枠支保工の組立等作業主任者が、作業を直接指揮しなければならない。
⑴ 1つ
⑵ 2つ
⑶ 3つ
⑷ 4つ
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:3
型枠支保工は、コンクリートを打設する際に使用する型枠です。重量のあるコンクリートを打設中に型枠が崩壊しないよう、鋼製の支柱や筋交いなどでしっかり固定します。
支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工の工事は、工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。
①適当です。
業者は、型枠支保工を組み立てるときは組立図を作成し、その組立図に従って組み立てなければならないとされています。
この組立図は、支柱、はり、つなぎ、筋交などの部材の配置、接合の方法、寸法が示されていなければいけません。
②適当ではありません。
事業者は型枠支保工の材料について、著しい損傷や変形、腐食があるものは使用してはなりません。
また、型枠支保工に使用される支柱やはりなど主要部分の鋼材については、それぞれ厳しく規格が定められています。
③適当です。
事業者は、型枠支保工については型枠の形状やコンクリートの打設の方法などに応じた堅固な構造のものでなければ使用してはならないとされています。
また、支柱の継手は突合せ継手または差込み継手であること、鋼材の接合部や交差部はボルトやクランプなどで固定することとされています。
④適当です。
事業者は、型枠支保工の組立てまたは解体の作業について、型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちより、型枠支保工の組立て等作業主任者を選任しなければなりません。
選任されたものは、作業方法を決定してそれを直接指揮することとされています。
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No.59
車両系建設機械を用いた作業において、事業者が行うべき事項に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、労働安全衛生法上、正しいものの数は次のうちどれか。
- 岩石の落下等により労働者に危険が生ずるおそれのある場所で作業を行う場合は、堅固なヘッドガードを装備した機械を使用させなければならない。
- 転倒や転落により運転者に危険が生ずるおそれのある場所では、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の車両系建設機械を使用しないように努めなければならない。
- 機械の修理やアタッチメントの装着や取り外しを行う場合は、作業指揮者を定め、作業手順を決めさせるとともに、作業の指揮等を行わせなければならない。
- ブームやアームを上げ、その下で修理等の作業を行う場合は、不意に降下することによる危険を防止するため、作業指揮者に安全支柱や安全ブロック等を使用させなければならない。
⑴ 1つ
⑵ 2つ
⑶ 3つ
⑷ 4つ
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:3
系建設機械を使用する場合、当該建設機械に堅固なヘッドガードを備えなければいけません。
また、車両系建設機械には必要な照度が確保されない場合は前照灯を備えなければいけません。
②正しいです。
事業者は、路肩や傾斜地などで車両系建設機械の転倒や転落の可能性があり、運転者に危険が及ぶおそれのある場所において、転倒時保護構造を有しシートベルトを備えたもの以外の車両系建設機械は使用しないよう努めなければならないとされています。
また、運転者にはシートベルトを着用させるように努めなければいけません。
③正しいです。
事業者は、車両系建設機械の修理やアタッチメントの装着、取り外しなどの作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定めなければいけません。
作業を指揮する者は作業手順を決定し、その作業を指揮させ、なおかつ点検時の安全支柱などの使用やアタッチメントの倒壊防止架台の使用などを監視しなければいけません。
④正しくありません。
事業者は、車両系建設機械のブームやアームなどを上げてその下で修理や点検の作業を行う場合、ブームやアームなどが不意に降下することによる労働者の危険を防止するために安全支柱や安全ブロックを使用させなければいけません。
また、労働者はこの指導に従い安全支柱や安全ブロックなどを使用し、作業指揮者はそれらが使用されているかの状況を監視しなければなりません。
④正しくありません。
作業指揮者に安全支柱や安全ブロック等を使用させなければならない、という部分がひっかけになっており、安全支柱などを使用するのは作業指揮者に指示された労働者であり作業指揮者本人が使用するわけではないので、この設問は間違いとなります。
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No.60
x−R管理図に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、適当なものの数は次のうちどれか。
- x−R管理図は、統計的事実に基づき、ばらつきの範囲の目安となる限界の線を決めてつくった図表である。
- x−R管理図上に記入したデータが管理限界線の外に出た場合は、その工程に異常があることが疑われる。
- x−R管理図は、通常連続した棒グラフで示される。
- 建設工事では、x−R管理図を用いて、連続量として測定される計数値を扱うことが多い。
⑴ 1つ
⑵ 2つ
⑶ 3つ
⑷ 4つ
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:2
①適当です。
x-R管理図は工程の状態について多くの情報が得られる管理図です。xは分布の平均値の変動により工程を管理し、Rはばらつきの変動により工程を管理するものです。
上下にそれぞれ上方管理限界性、下方管理限界性を引き、表がその線を越えないかどうかを確認します。
②適当です。
管理限界線とはグラフ化したx-R管理図の上下に引かれた破線であり、折れ線の点がその破線の中にあると工程は統計的管理状態にあると判断されます。
逆にグラフが管理限界線外に出たり点の並びが異常な場合、工程に異常が発生していることを意味します。
③適当ではありません。
x-R管理図は、通常は連続した折れ線グラフで表わされます。
縦軸に各サンプルの平均値、横軸に日付を取り、その点の分布を線で繋いだもので工程が管理状態にあるかどうかを確認します。
④適当ではありません。
測定された計数値を群分けして、群の平均値と群のばらつきの範囲を管理します。
x-R管理図はこまめに確認していくと管理線が従来の分布とは違った形となってくるので、定期的に直近のデータを利用し最初からの手順で新しい管理図を作成するようにします。
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No.61
盛土の締固めにおける品質管理に関する下記の①〜④の4つの記述のうち、適当なもののみを全てあげている組合せは次のうちどれか。
- 品質規定方式は、盛土の締固め度等を規定する方法である。
- 盛土の締固めの効果や特性は、土の種類や含水比、施工方法によって変化しない。
- 盛土が最もよく締まる含水比は、最大乾燥密度が得られる含水比で最大含水比である。
- 土の乾燥密度の測定方法には、砂置換法やRI計器による方法がある。
⑴ ① ④
⑵ ② ③
⑶ ① ② ④
⑷ ② ③ ④
[su_spoiler title=”解答&解説”]
解答:1
①適当です。
品質規定方式は発注者が必要な品質を仕様書に明示し、締固め方式を受注者に委ねるものです。
盛土の締固め度や乾燥密度で規定する方法、空気間隙率や飽和度を施工含水比にて規定する方法、強度特性、変形特性で規定する方法の3つがあります。
④適当です。
土の乾燥密度の測定方法は、砂置換による土の密度試験方法とRI計器による方法の2つがあります。
砂置換法による土の密度試験方法は、地盤の土を掘った試験孔に密度が判明している砂を充填し、その砂と掘り起こして得た土より試験孔の体積を求めて土の密度を計算する方法です。
RI計器は線源が地表面にある散乱型と線源棒の挿入を伴う透過型があり、現場計数率を標準体の計数率で割り計数比率を計算する方法です。
①も④も適当であるため、正解となります。
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